特許「抗酸化強度の測定方法及びその装置」の概要とその測定値について

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特許「抗酸化強度の測定方法及びその装置」の概要とその測定値について

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2019/04/25 特許「抗酸化強度の測定方法及びその装置」の概要とその測定値について

先ず、この特許を得た抗酸化強度の測定原理です。

一般的に酸化性物質に還元性物質である抗酸化性物質を加えると、酸化還元反応によって酸化還元電位が低下する現象が起こります。

そこで、活性酸素種の一種で標準酸化還元電位の高いオゾン(O3)が、容易に発生装置(ダイヤモンド電極)で生成できることに着目し、このオゾン水溶液中に抗酸化性物質が含まれている試料液を加えた場合と加えない場合とで、オゾンが還元されたことによる酸化還元電位の低下の差を指標とすれば、試料液中の抗酸化性物質の強度が判ることになります。この強度を、例えば抗酸化性物質として周知のアスコルビン酸(AsA:ビタミンC)やトロロックス(Trolox:ビタミンEの水溶性誘導体)相当量として表記すれば、より具体化されます。

 

弊社では、この抗酸化強度の測定方法を酸化還元電位法Oxidation-Reduction PotentialORP法)と呼称することにしました。従ってこのORP法が、これまで抗酸化食品の検出方法として用いられてきたORAC法、DPPH法やESR法などに、新たに加わる新法ということになります。

 

次に、この装置の全容を下図に示します。

 

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装置右側のダイヤモンド電極がオゾン発生装置で、発生したオゾンは精製水に溶けてオゾン水になります。そのオゾン水を左にある酸化還元電極(ORP電極)が差し込まれた反応セルに一定量導入します。左側の四角い装置が酸化還元電位計です。その測定部でリアルタイムでの電位が計測できます。

実際の測定は、安定したオゾン水を反応セルに導入した段階でその酸化還元電位を計測(ORPo)しておき、次に試料液を反応セルに添加・混和し一定時間後の酸化還元電位を再び計測(ORPs)します。試料液の抗酸化強度は ORPo-ORPs(=ΔORP) で示されることになります。

 

最後にこの新法であるORP法を用いた測定事例を紹介します。

主に野菜や果物など生鮮食品の抗酸化強度を測定した結果を、常法の一つであるDPPH法と比較して、AsAあるいはTrolox相当量で示しています。 

 

試料 ORP法 ORP法 DPPH法 O法/D
mol-AsA/) mol-Trolox/)
ほうれん草   47.8 26.5 1.8 14.7
パセリ 117.4 66.4 0.8 83.0
青ネギ1   57.4 31.9 1.6 19.9
青ネギ2   58.6 33.3 0.5 66.6
大根()   39.2 20.4 0.8 25.5
トマト   30.4 15.8 2.2   7.2
リンゴ()   21.9 12.4 0.5 24.8
リンゴ() 120.7 68.8 4.2 16.4
洋なし   16.1   8.4 0.4 21.0
みかん   53.3 30.2 1.8 16.8
アボカド   89.6 47.8 2.1 22.8
シイタケ 110.7 58.5 3.8 15.4
160.4 93.1 3.3 28.2

-特許第5271844号の特許公報(B2)からの抜粋-

 

ORP法でのAsA相当量あるいはTrolox相当量のデータとも、試料の抗酸化強度に対応した適度なバラツキが認められましたが、DPPH法のそれはいずれも1桁台の前半までに納まっており、試料による抗酸化強度差が少ないことが判ります。

また、ORP法とDPPH法との相関(表の右端)では1530位が大半を占めて高い相関性が認められた一方で、1桁台や50以上を示すケースもあり、ORP法の独自性もうかがえる結果と言えます。

 

なお弊社では、令和元年5月7日より、この特許権(特許第5271844号)を得た抗酸化強度測定の新法である酸化還元電位法(ORP法)の受託を開始しますので、お問い合わせください。

 

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